将棋の話14 ~指し手や駒の「重さ」と「軽さ」

話のネタにちょうどいい将棋を実戦で指したので、
自前の実戦棋譜を使って書いてみたいと思います。

Biglobeブログの「将棋」というテーマを見てページを閲覧する人は
たいてい有段者レベルの人たちばかりだから、
自明のことでしょうが、私は最下層の級位者レベルの棋力しかないので、
そのレベルの人間にためになる話しか書けません。
物足りない話になるでしょうが、そこんところはご勘弁のほど。

将棋の指し手には重さがある、
ということをご存知でしょうか?
重い」のと「軽い」のがある。

重い」「軽い」は将棋の「専門用語」のひとつでして、
一般的な単語の意味と違った独特の意味を持っているわけです。
実際にプロ棋士による将棋解説でも「重い攻めですね」などと頻繁に使われます。

大雑把な言い方をすれば、
捌き」を拒否して相手の攻め駒を「抑え込もう」とすると「重く」なるし、
互いの攻め駒を捌くのは「軽い」。
という風に、「重い」か「軽い」かは
抑え込む」か「捌く」かと関係しているように思います。

「捌く(さばく)」とは、

広義では「駒を遊ばせないで活用する」という意味で、
狭義では「盤上の駒を交換して持ち駒にする」という意味。

それに対して「抑え込み」は、

「相手の攻め駒を捌かせないように封じ込めてしまう」ことです。

「捌き」「抑え込み」。
これも将棋の専門用語。

例えば振飛車党トップ3の1人、
久保利明八段捌きの名手として知られていて、
NHK教育テレビの将棋講座でも「捌きの極意教えます」
と題した講座をやったことがある。

そうは言っても捌かせずに抑え込みに成功するのは優勢でいいことなので、
重い」「軽い」と全く一致したものでもありません。

重い軽いになると、
軽いほうがよくて重いのはよくない、というニュアンスが含まれるようになる。

指し手は「軽い」ほうがたいていの場合よい、ということです。

将棋の用語で「重い」という状態を強いて言葉で言い表すと、
こうなると思います。

「駒の働きの効率が悪い状態」
「手数や手間がかかって攻めや寄せが遅い状態」
「飛車や角の筋に自分の駒があって邪魔している状態」

飛車や角という攻め駒はまっすぐ相手の急所の駒を
睨んでいるほうがいいのですが、
飛車先や角筋に動きの鈍い自分の小駒があって
その頭にさらに駒を打つような攻め方をすると、
「攻めが重い」と言われます。
そういうのは「筋の悪い攻め方だ」という訳です。

実例をお見せします。

(図1)


これはつい最近私が指した将棋のなかに現れた局面。
ここまでの手順はこちら

▲先手が私で
46手目に後手が△6六銀と歩の頭に打ってきた局面です。

△後手の駒の並びを見てください。
「飛車先の歩の頭に銀を打つ」
こういうのが「重い」と表現する状態なのです。

いちおう角取りをかけてますが、狙いは多分▲先手飛車角の抑え込みでしょう。
しかしこの地点は自分の飛車角の筋が交わる焦点でもあって、
そこに自分の駒を打つことは自分の飛車角の利きを止めることでもあるのです。

(図2)


仮に先手がここで▲8八角と引いた(図2)としたらどうでしょう?
△6六にある銀の駒がどこにも行けませんね。
どこへ動かしてもタダで取られるから動かせない。
銀が動かせないから△6五の歩が進めない。そのうしろの飛車も
当然攻め駒としての縦の利きを活かすことができない。

これを「重い」という表現するわけです。

(図3)


(図1)の本譜からさらに進んだ局面ですが(図3)を見てください。
先手後手の飛車角の状態を見比べてみましょう。

先手の飛車は6筋と5筋の歩が捌けてますから、
すぐに活用できそうです。先手▲8六の角も
角筋が通っていてその先で▲成桂が両取りかけているから、
軽く捌けそうですね?

それに比べて後手の飛車角は、
身動きのとれない△6六銀のお蔭で、
極めて「重く捌くことができない

飛車角の筋の駒の「重さ」が全然違っていて、
飛車角の働きが圧倒的に違う。
それに成桂ができているということを合わせた「駒の働き」
「玉の形=玉の固さ」「駒の損得」(先手の銀歩得)を総合すると、
この局面は「圧倒的な先手勝勢」となる。

そうやって局面形勢判断をする。

形勢判断をして、
それに基づいて次の指し手を有力手のなかから選ぶ。
それが将棋の「読む」ということなわけです。

というわけで(図1)以下の終局までの本譜はこちらです。

本譜のコメント欄も参考にしてください。

(渡野川)

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