なぜボナンザは優勝できたか

第16回世界コンピュータ将棋選手権が
5月3日から5月5日までの期日で行われました。

第16回世界コンピュータ将棋選手権 ライブ中継
http://live.computer-shogi.org/wcsc16/
ブログ
http://computer-shogi-live.cocolog-nifty.com/
「世界コンピュータ将棋選手権2006」を10倍楽しむHP
http://homepage1.nifty.com/ta_ito/CS2006/CS2006.htm


最終日の5月5日、
8プログラム・チームによる
総当り決勝トーナメントが行われ
話題のフリーソフト、ボナンザ(Bonanza)が6勝1敗で
初出場初優勝を果たしました。


Bonanza

これでぐっとボナンザの格があがりますねえ。
これまで将棋プログラム作りに長年努力してきた4強は
形無しです。

決勝戦の6戦目終了時点で、
ほぼボナンザの優勝が決まったも同然だったので
最終7戦目を待たず私は居眠りこいてしまった。

ボナンザが3戦目までに3シードプログラムとの対戦がすべて終わり
2勝1敗だったので俄然有利なのは分かってましたし
このままでいくと、という予感もあった。
しかしボナンザに快勝しているYSSが最有力だろうとも思っていた。
ところがそのYSSがTACOSに痛い取りこぼしをしたために、
YSSとKCCとボナンザが
ともに4勝1敗で並んで迎えた第6戦。

KCC将棋=「銀星将棋」


世界最強銀星将棋6 双頭の龍


首位タイのYSSとKCCの直接対決があり、
これに勝ったほうが優勝だ、と思っていたらなんと!

YSSとKCC戦は千日手。

ルールがないので引き分け、ということで
見事な共倒れ。
第7戦目でボナンザが負けるわけがなく
最終戦を待たずに決着はこの時ついてしまったようなものです。

ボナンザの初出場初優勝という快挙!

この結果を受けて、
ボナンザは凄い!
とコンピュータ将棋に詳しくない人は
騒ぐかもしれませんが、
ずっとこれをネタに書いてきた私としては
そんな感じではありません。

今回の選手権はシードチームを含めた
4強のモチベーションがどうも低かったような気がする。

以前の記事に書いたとおり
ボナンザは、いきなり角切って攻め切るのかと思いきや
そのあとにおもむろにちまちま玉を穴熊に囲い始めたり、
「やっぱりボナンザやのぉ~」
というような手を炸裂していましたから
(決勝第6戦目、ボナンザvsTACOS)
4強が普通に戦っていれば
ボナンザが2敗以上はしたはずです。
2敗したら普通優勝はできません。

ならばボナンザがなぜ優勝できたのか。

答としては
こんな感じになるような気がします。

驕ったMYCOMのせい。

なんでMYCOMやねん? とお思いの方は
最後まで話を読みましょう。
落ち着きなさい、どうどう。

MYCOM(毎日コミュニケーションズ)が
将棋プログラムの4強のうち2つを商品化して売っている
ということはご存知ですね?

激指 =「激指5」


将棋ワールドチャンピオン 激指6


将棋ワールドチャンピオン 激指5

IS将棋=「東大将棋8」


最強 東大将棋 8

今回この2ソフトが
ボナンザ優勝に見事に貢献してくれたわけです。

まず「東大将棋8」に使用している思考エンジンに
多少の改良を加えてそのまま参加していれば
最も安定して勝ったであろうIS将棋が
新作プログラムのバグ解消ができず
シード権があるのに不参加であった。

これはボナンザに大変有利です。

ついで激指が、
「激指5」にもあるプログラムの終盤の致命的な欠陥を
修正しないまま参加してそれがそのまま
ボナンザとの直接対決の勝敗に影響してしまった。

この二つがなかったら
おそらくボナンザの優勝はなかった。

だからMYCOMが悪い、というわけです。

ただMYCOMが売っているソフトがヘマこいたから
MYCOMが悪いとは言いがかりだろう
、と思われた方がた
話は最後まで読みましょう、聞きましょう。

具体的に見ていきます。

決勝第3戦目、激指vsボナンザ戦の直接対決です。
棋譜はこれ。

手合割:平手 
先手:激指
後手:ボナンザ

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛 
▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二玉 ▲5六歩 △8二玉 
▲5八金右 △9二香 ▲9六歩 △9一玉 ▲6八銀 △8二銀 
▲2五歩 △3三角 ▲5七銀左 △7一金 ▲7七角 △3二銀 
▲8八玉 △5一金 ▲7八金 △6二金左 ▲5九銀 △4三銀 
▲3六歩 △5四銀 ▲6六歩 △6四歩 ▲9五歩 △7二金寄 
▲8六角 △6三銀 ▲6五歩 △7四銀 ▲7七桂 △4五歩 
▲6四角 △6五銀 ▲5三角成 △7六銀 ▲7五馬 △7七銀成 
▲同 金 △7四歩 ▲7六馬 △5五歩 ▲5三銀 △2二飛 
▲3七桂 △5六歩 ▲同 銀 △7五歩 ▲同 馬 △6三金 
▲5五歩 △7二飛 ▲7四歩 △同 金 ▲4八馬 △6四桂 
▲同銀不成 △同 金 ▲6七金上 △6五銀 ▲同 銀 △同 金 
▲7六歩 △5六歩 ▲6六銀 △5五金 ▲同 銀 △同 角 
▲6六金打 △3九銀 ▲5五金 △2八銀不成▲5六金引 △1九銀成 
▲6四歩 △7五歩 ▲6三歩成 △7六歩 ▲7二と △7七歩成 
▲同 金 △7二金 ▲2二飛 △6九飛 ▲7二飛成 △7一香 
▲4二竜 △8九金 ▲9七玉 △8八銀 ▲9六玉 △7七銀不成
▲5五角 △6四歩 ▲7七角 △6七飛成 ▲6六馬 △7七竜 
▲同 馬 △6三角 ▲7四歩 △同 角 ▲8五桂 △同 角 
▲8六玉 △7七香成 ▲8五玉 △9九金 ▲8二竜 △同 玉 
▲4二飛 △7二金 ▲7一銀 △同 玉 ▲6一金 △同 玉 
▲4三角 △7一玉 ▲7二飛成 △同 玉 ▲6一銀 △8二玉 
▲7二金 △9一玉 ▲8一金 △同 玉 ▲5四角成 △9一玉 
▲6四馬 △8二桂 ▲同 馬 △同 玉 
 まで、142手で後手勝ち

コピペして柿木将棋のKif for Windowsで鑑賞してみてください。
もしくは「激指5」を持っていればなおよろし、あのよろし。
「激指5」でこの棋譜を読み込んでくださいまし。

激指の敗着は121手目

▲4二飛

です。

ボナンザの勝ちについて現地での反応はこのようなものでした。

誰もが後手玉詰み、激指勝ちを確信しました。
しかし(1)▲7一銀が痛恨の敗着。
以下▲5三角には△6二香合と、
ボナンザが直前に△9九金と補充していた香を合駒して詰みません。
激指がずっとこの筋を読んでいて
ボナンザの△9九金を見て動揺したというのであれば、
人間同士の対局のようです。
▲7一銀では代わりに
(2)▲7二飛成△同玉▲6三銀△同玉▲7四角以下の詰みがありました。
「ソフトは詰みがある局面では必ず詰ます」という神話は、
実は絶対ではないことが改めて示されました。

(「コンピュータ将棋選手権ネット中継ブログ」より引用)


その前に121手目▲4二飛のときに
▲6二飛とするほうが見えやすい詰み筋です。

この筋は、実は「東大将棋8」も「AI将棋ver13 」も
私のPCスペックPentium4 2.53GHzですら
ものの5秒もかからず発見しています。


AI将棋 Version 13 for Windows

この詰み筋を見つけられなかったのは実は
4強のなかで「激指」だけなのですよ。
すなわち

「ソフトは詰みがある局面では必ず詰ます」という神話は、
実は絶対ではないことが改めて示されました。


というのは間違いなのです。

激指に限り、詰ませることができなかった

というのが正しい。

具体的に書きます。

「激指5」にこの棋譜を読ませて「検討モード」を起動して
120手目の時点での読み筋を確認してみてください。
121手目に何を最善手としてどう読んでいるかをみてみるわけです。

結果はこうなります。

120手目△同玉のとき121手目「解析モード」五段++(思考完了)

最善手▲7二金 先手勝ち(99983) (読み筋)△同玉▲6三銀
次善手▲5二飛 先手勝ち(99981) (読み筋)△7二飛▲同飛不成
3▲4二飛 先手勝ち(99979) (読み筋)△7二金▲同飛不成△同玉▲6三銀△同玉▲5四銀
4▲4二飛 先手勝ち(99979) (読み筋)△7二金▲同飛不成△同玉▲6三銀△同玉▲5四銀
5▲4二飛 先手勝ち(99979) (読み筋)△7二金▲同飛不成△同玉▲6三銀△同玉▲5四銀
6▲4二飛 先手勝ち(99979) (読み筋)△7二金▲同飛不成△同玉▲6三銀△同玉▲5四銀
7▲4二飛 先手勝ち(99979) (読み筋)△7二金▲同飛不成△同玉▲6三銀△同玉▲5四銀
8▲4二飛 先手勝ち(99979) (読み筋)△7二金▲同飛不成△同玉▲6三銀△同玉▲5四銀
9▲4二飛 先手勝ち(99979) (読み筋)△7二金▲同飛不成△同玉▲6三銀△同玉▲5四銀
10▲4二飛 先手勝ち(99979) (読み筋)△7二金▲同飛不成△同玉▲6三銀△同玉▲5四銀


これは最後まで読み切って思考終了した段階ででるものです。
詰み筋の▲6二飛はどこにもありませんね?
それどころか第3から第10候補まで全部▲4二飛で、
しかも6手しか読んでおらず
そこで読みは打ち切って先手勝ちと評価している。
実際この検討モードの思考は、3候補目の▲4二飛の読みが終了したら
また同じ▲4二飛を読み始め、
それが終わったらまた▲4二飛を読むということを
延々繰り返しただけなのです。

この思考を秒読みで打ち切って指したから
▲4二飛などという手になったわけだ。

私はプログラミングの素人だからよく分かりませんが、
おそらくこれは詰みチェックルーティンのどこかに存在する
致命的なプログラムミスによるバグだろうと推測します。

実のところこのバグは、
「激指4」の段階から存在したのです。
「激指5」の思考エンジンのなかにも存在する
ということは当然「激指4」のころからあるバグを修正しないまま
また大会に参加してきた、ということなわけですね。

これまでは運良くそのバグが
本番ででなかったから好成績だったが
ついにこれが本番でも出てしまった。
しかもその相手がボナンザだった。

だからMYCOMのせい なのです。

まだ納得できない方がおられるでしょうから、
さらに話を進めます。

「激指5」が発売されたのが2005年12月8日だったと思いますが
私もすぐ購入してソフト同士対戦をさせて棋力調査をやってみた。
結果、選手権のボナンザ戦と同じバグが「激指5」に生じたので
2005年12月19日付でMYCOMのサポート宛に
このようなメールを送ったのです。

---

件名:激指5について
宛先:soft@pc.mycom.co.jp

時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

早速ですが、先日発売された「激指5」で、
バグらしき現象を発見しましたので、
ご報告申し上げます。

まずこの棋譜を、
レベル「五段」にして棋譜解析にかけてみてください。

# ---- AI将棋 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:激指<全戦型> 五段
後手:AI棋士四段
手数----指手---------消費時間--
1 7六歩(77) ( 0:01/00:00:01)
2 6二銀(71) ( 0:17/00:00:17)
3 6八銀(79) ( 0:01/00:00:02)
4 3四歩(33) ( 0:09/00:00:26)
5 6六歩(67) ( 0:01/00:00:03)
6 6四歩(63) ( 0:12/00:00:38)
7 6七銀(68) ( 0:01/00:00:04)
8 6三銀(62) ( 0:08/00:00:46)
9 6八飛(28) ( 0:01/00:00:05)
10 5四銀(63) ( 0:09/00:00:55)
11 4八玉(59) ( 0:01/00:00:06)
12 6二飛(82) ( 0:10/00:01:05)
13 3八玉(48) ( 0:01/00:00:07)
14 4二玉(51) ( 0:08/00:01:13)
15 7七角(88) ( 0:01/00:00:08)
16 3二玉(42) ( 0:08/00:01:21)
17 2八玉(38) ( 0:01/00:00:09)
18 4四歩(43) ( 0:08/00:01:29)
19 3八銀(39) ( 0:01/00:00:10)
20 3三角(22) ( 0:10/00:01:39)
21 1六歩(17) ( 0:03/00:00:13)
22 5二金(61) ( 0:10/00:01:49)
23 1五歩(16) ( 0:03/00:00:16)
24 6五歩(64) ( 0:13/00:02:02)
25 同 歩(66) ( 0:02/00:00:18)
26 同 銀(54) ( 0:09/00:02:11)
27 5六銀(67) ( 0:05/00:00:23)
28 6四歩打 ( 0:10/00:02:21)
29 6五銀(56) ( 0:01/00:00:24)
30 同 歩(64) ( 0:09/00:02:30)
31 5八金(69) ( 0:16/00:00:40)
32 8五銀打 ( 0:12/00:02:42)
33 6七金(58) ( 0:16/00:00:56)
34 7四銀(85) ( 0:13/00:02:55)
35 5六歩(57) ( 0:17/00:01:13)
36 2二玉(32) ( 1:15/00:04:10)
37 8六歩(87) ( 0:01/00:01:14)
38 1二香(11) ( 0:15/00:04:25)
39 5七金(67) ( 0:06/00:01:20)
40 1一玉(22) ( 0:37/00:05:02)
41 7五歩(76) ( 0:22/00:01:42)
42 同 銀(74) ( 0:53/00:05:55)
43 7一銀打 ( 0:03/00:01:45)
44 9二飛(62) ( 0:35/00:06:30)
45 6二歩打 ( 0:10/00:01:55)
46 7六銀(75) ( 0:32/00:07:02)
47 5五角(77) ( 0:02/00:01:57)
48 5四歩(53) ( 0:23/00:07:25)
49 6四角(55) ( 0:03/00:02:00)
50 4五歩(44) ( 0:25/00:07:50)
51 5五歩(56) ( 0:14/00:02:14)
52 同 歩(54) ( 0:23/00:08:13)
53 6一歩成(62) ( 0:11/00:02:25)
54 2二銀(31) ( 0:28/00:08:41)
55 6二銀成(71) ( 0:08/00:02:33)
56 5六歩(55) ( 0:31/00:09:12)
57 同 金(57) ( 0:06/00:02:39)
58 6二金(52) ( 0:16/00:09:28)
59 同 と(61) ( 0:07/00:02:46)
60 6七銀打 ( 0:22/00:09:50)
61 同 飛(68) ( 0:30/00:03:16)
62 同 銀(76) ( 0:12/00:10:02)
63 4五金(56) ( 0:29/00:03:45)
64 4八歩打 ( 0:45/00:10:47)
65 同 金(49) ( 0:25/00:04:10)
66 9九角成(33) ( 0:12/00:10:59)
67 5三角成(64) ( 0:30/00:04:40)
68 9八飛打 ( 0:42/00:11:41)
69 4九銀打 ( 0:30/00:05:10)
70 5七歩打 ( 0:55/00:12:36)
71 5九歩打 ( 0:30/00:05:40)
72 8九馬(99) ( 0:23/00:12:59)
73 5二と(62) ( 0:29/00:06:09)
74 3一金(41) ( 0:12/00:13:11)
75 7八歩打 ( 0:29/00:06:38)
76 5八歩成(57) ( 0:42/00:13:53)
77 同 歩(59) ( 0:17/00:06:55)
78 5六桂打 ( 0:13/00:14:06)
79 5七金(48) ( 0:17/00:07:12)
80 7八飛成(98) ( 0:13/00:14:19)
81 1四歩(15) ( 0:30/00:07:42)
82 4八歩打 ( 0:44/00:15:03)
83 3四金(45) ( 0:29/00:08:11)
84 4九歩成(48) ( 0:47/00:15:50)
85 1三歩成(14) ( 0:29/00:08:40)
86 3九銀打 ( 0:45/00:16:35)
87 1七玉(28) ( 0:18/00:08:58)
88 1三香(12) ( 0:15/00:16:50)
89 2六玉(17) ( 0:29/00:09:27)
90 1九香成(13) ( 0:11/00:17:01)
91 1二歩打 ( 0:29/00:09:56)
92 同 玉(11) ( 0:21/00:17:22)
93 1三歩打 ( 0:22/00:10:18)
94 同 桂(21) ( 0:35/00:17:57)
95 1四歩打 ( 0:17/00:10:35)
96 3二金(31) ( 0:19/00:18:16)
97 1三歩成(14) ( 0:30/00:11:05)
98 同 銀(22) ( 0:14/00:18:30)
99 2五桂打 ( 0:15/00:11:20)
100 2四香打 ( 0:40/00:19:10)
101 同 金(34) ( 0:08/00:11:28)
102 同 銀(13) ( 0:40/00:19:50)
103 1四香打 ( 0:11/00:11:39)
104 1三歩打 ( 0:15/00:20:05)
105 同 香成(14) ( 0:11/00:11:50)
106 同 銀(24) ( 0:10/00:20:15)
107 同 桂成(25) ( 0:16/00:12:06)
108 同 玉(12) ( 0:11/00:20:26)
109 1四歩打 ( 0:10/00:12:16)
110 同 玉(13) ( 0:12/00:20:38)
111 2五銀打 ( 0:06/00:12:22)
112 1三玉(14) ( 0:11/00:20:49)
113 6七金(57) ( 0:11/00:12:33)
114 1四歩打 ( 0:40/00:21:29)
115 1五歩打 ( 0:29/00:13:02)
116 1二玉(13) ( 0:15/00:21:44)
117 1四歩(15) ( 0:15/00:13:17)
118 2一桂打 ( 0:12/00:21:56)
119 3一金打 ( 0:29/00:13:46)
120 3三金打 ( 0:43/00:22:39)
121 3二金(31) ( 0:10/00:13:56)
122 同 金(33) ( 0:10/00:22:49)
123 3一金打 ( 0:09/00:14:05)
124 2二金打 ( 0:41/00:23:30)
125 3二金(31) ( 0:04/00:14:09)
126 同 金(22) ( 0:38/00:24:08)
127 3一金打 ( 0:08/00:14:17)
128 3三金打 ( 0:46/00:24:54)
129 3二金(31) ( 0:06/00:14:23)
130 同 金(33) ( 0:17/00:25:11)

これは先手「激指5」五段、
平手、全戦形、時間無制限という条件で、
後手「AI将棋2004」四段と対戦させた棋譜です。
結果は、千日手になりましたが
問題なのは先手「激指5」五段の103手目、1四香打です。

棋譜解析結果をみていただければわかると思いますが、
102手時点で、▲1四香打で「先手勝ち」と判断しています。
しかし当然の受けである△1三歩を指した途端、
「後手優勢」に評価がかわってしまう。

なぜこんな一手ばったりの悪手を指すのか、
「先手勝ち」などと判定したのかと思い、
検討モードで読み筋を見てみたところ、
「五段++」思考完了で、最善手から9番目の候補手まで
ずらっと▲1四香ばかりが並びました。


同じ局面を「激指4」の検討モードでみてみたところ、
こちらは最善手から10ランクまですべて▲1四香で、
次善候補以下は全部

▲1四香△1三香▲同桂成△同銀

まで読んで、それ以後の読みを放棄してしまっています。

つまり「激指4」のときからあるバグなわけです。

終盤強いはずの「激指」が無理筋の攻めをとんどん続けて、
攻め切れ負けというお粗末な負け方をすることがよくあるのですが、
このようなバグが原因かもしれません。

早急に原因調査し修正して
パッチを配布していただきたく存じます。

「激指」の益々の発展をお祈りしています。


---

これについては「致命的なバグ」として「将棋ソフトの棋力3 」
という記事にすでに書いてるんですよね。

ところがMYCOMのサポートからの返信は一切なし。
サポートページにこんな一文を掲載しただけ。

Q 他のソフトと対戦させると変な手を指すような気がするのですが?
A  激指に限らず最近の将棋ソフトのほとんどは、相手の手番で考えるという機能を持っています。そのため、1台のコンピュータで2つのソフトを同時に使用すると、CPUの奪い合いが起き、場合によっては片方のソフトがほとんど考えることができなくなってしまいます。したがって、2つの将棋ソフトを対戦させる場合、必ず両方のソフトの「相手の手番で考える」機能をオフにして対戦させて下さい。


変な手を指すのは一つのPCで二つのソフトを起動して対戦させる
お前が悪い
、と言っている訳です。

そんなことは書いていない。
プログラムのバグについて書いて送っているのに
それが理解できない頭の悪いMYCOMサポートスタッフ。
客を莫迦にするあほのMYCOM。

この調子では「激指」開発スタッフに
情報はフィードバックされていないでしょうね。

12月に申告があったわけだから選手権までの4ヶ月の間に
バグの修正はできたはずです。
けっこうむかついたから、激指開発チームのサイトと
メールアドレスも分かったけれども
かね出して買った客相手に
こんな舐めたサポートをするようなところと契約している
プログラマーたちにも責任があるだろう、
そこまで面倒は見られんということで
メールは書いたが送るのはやめた。

結果、今回の選手権でものの見事にそのバグが
ボナンザ戦に出て逆転負けを喰らい、
常勝「激指」は5位のシード落ち。
当然これは「激指5」以降の商品売上げに影響してくるでしょう。
まあ自業自得ですけど。

ここまで書けば、
ボナンザの優勝はMYCOMのせい
と私が結論付けたことの意味がお分かりになったと思います。

「激指」開発スタッフの皆さん。
MYCOMの連中が客を舐めず
客からの不具合情報をちゃんとフィードバックしていれば
あなたがたは今年も優勝できたはずです。

事実「激指5」は私の試験対局ではフリーソフトのボナンザには
圧倒的に強かったのですから。

日本将棋連盟は名人戦主催の契約を見直すらしいし
激指さんも、勝負でも商売でも
どちらでも足引っ張るMYCOMとの契約の見直し、
考えたほうがいいかもしれませんよ。
老婆心ですが。

そんなことはともかくも。
ボナンザの優勝おめでとうございました。

運を味方につけるのも勝負のうち、
実力のです。
世間を舐めず驕らず
独りでコツコツ努力したことが報われるのは
素晴らしいことですからね。
心から喜んでおりますよ、私も。

今年も世界コンピュータ将棋選手権楽しませてもらいました。
CSAの皆様、運営スタッフの皆様、
お疲れ様でした。

(渡野川)

http://directshopds.okoshi-yasu.com/


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この記事へのコメント

通りすがり
2006年05月06日 20:57
これは鋭い解析ですね。驚きです。
激指-ボナンザ戦の121手目▲6二飛は正解ですね。△7二角と合駒した場合が一番手数が掛かりますが、以下▲同飛成△同玉▲6三銀△同玉▲7四角△5三玉▲4五桂△4三玉▲5四角△同玉▲5三金△4四玉▲5五銀までの15手詰め。
他に手数が長いですけど、▲7一銀から25手詰めもあります。これは持ち駒を全部使い果たしたきれいな詰みになります。
まあこうみてくると、激指には詰めルーチンにバグが潜んでいると思われても仕方ないですね。
ボナンザが優勝したのは運が良かったのかな?
将棋には詳しくない通りすがりのソフトウェア開発者
2006年05月07日 00:32
バグだ!と報告したことが多少問題なのかもしれません。
バグというのはどちらかというとソフトウェアが期待した機能としての働きをしない、というニュアンスで使われる場合の方が多いです。
一応次の手を考えて実行出来ているわけですし、これは単純に激指のアルゴリズムがクソヘチョイだけってことだと思います。

単純に、このソフトのアルゴリズムは他のソフトより全然弱い!!!って言えばいいのではないかと。

それなりに将棋ソフトに詳しい通りすがり
2006年05月07日 06:31
>しかも6手しか読んでおらず
>そこで読みは打ち切って先手勝ちと評価している。

これは間違いだと思います。
激指の内部実装がどうなっているのかは推測の域を出ないですが、おそらくいわゆる置換表(以前に探索した結果を保存しておく表)にヒットして結果を得た場合は、その先の手順を出力してないだけなんじゃなかろうかと想像します。
評価値9万とかは詰みを読みきった局面でしか出ない(経験上そう思ってます)ので、詰みまでは読みきっていたはずです。
まあ、バグがあったのは事実ですがねw
2006年05月07日 06:56
みなさんこめんとありがとうございます。

▲1四香
は詰み筋じゃないですよ。
最後まで読めてないと思います。
キャットウォーク
2006年05月07日 15:16
バグというのはハードやOSが違うと出ない場合もあるので、MYCOMの環境では出なかったのかもしれませんね。
この記事がソフト開発者の目に留まると良いですね。
それにしても、ボナンザに勝たれるとは、加藤幸男ですか、あなたは。(よいしょ)
2006年05月07日 15:30
加藤幸男さんの勝ちは完璧な指し回しの完勝で、私の勝ちはボナンザの悪手3連発による拾い勝ちなので中身が雲泥の差です。ボナンザには詰みチェックルーチンが入ってないらしいので、それが入ると私のような勝ちはなくなりますね。今のうちに勝っておいてよかった。
この記事はもうプログラマーの方たちは読んでいると思います。今回参加プログラム開発者の多くが投稿する掲示板にリンク貼ってあって、ビビりましたもん。(^-^;;
通りすがり
2006年05月07日 19:18
はじめに書いたコメントの中で▲6二飛△7二角以降の展開で、▲7四角の次に△7三玉と逃げる方が手数が多く掛かりますね。これには▲6三金△8二玉▲7一角△同玉▲7二銀以下、最後は後手玉を穴熊の位置に追いやってとどめを刺す手順で21手詰め。
振り返りますと、119手目の▲8二龍から一連の詰めがあったわけで、途中で詰め筋を逃したのはやはりアルゴリズムか何かの問題があったと言うことですね。
2006年05月08日 00:18
>アルゴリズムか何かの問題があったと言うことですね。
そのようですね。▲8二龍と龍を捨てて次に▲4二飛はおかしな順ですもんねえ。
まもるくん
2006年06月06日 12:59
楽しく拝見させていただきました。(*^-^*)
私も激指4で入力してみますと、8-2竜が敗着 と指摘してきました。(*^-^*)
バグについては、ちょっとわかりませんでした。p(^-^)q
2006年06月10日 01:47
>まもるくんさん
見落としていましてレス遅れすみません。
「激指4」にも同じ欠陥があるようですが終盤の詰むや詰まざるやの場面にでるようなので、級位者レベルの私にはほとんど関係ないことかもしれませんが、指していて人間でもヘボだと思える手を激指が指すという経験は何度かあります。そうなる状況が似ているとは気付いていましたので、おそらく原因は同じでしょう。いつも負かされてばかりでは嫌になるからこれもサービスのひとつと思うことにしましょう。買ってしまった人は。【ノ_;】

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