勝又清和五段快勝

NHK杯戦1回戦で最も楽しみにしていた対局が
世界コンピュータ将棋選手権終了の翌々日の昨日、
放送されました。

選手権でなんか余裕かまして解説していたので
勝ったのかな? とは思っていたのですが
勝ちよりましたね、勝又さん。
しかもプロらしい高度な内容の改心譜。

私はむしろ負けた井上慶太八段のほうが好きになったんですけど。
こんな面白い関西弁の感想戦は滅多にありません。
生真面目で厳しくも優しい語り口調の谷川浩司九段と
こてこての関西弁でぼやく井上八段は若松門下の兄弟弟子ですが
谷川研究会に井上さんは欠くべからざる存在なんだろうなと
この感想戦見たら分かるような気がした。

谷川さんとの相性がよさそう。

「ちょっといちびったろ、思てね」
言うてましたで井上八段。
いちびるなよ。

もうひとつの見所は、
解説に石田和雄九段をもってきたところ。
この人選は誰がしてるのでしょう。
将棋連盟側が選ぶのか
それともNHK側からの指名なのか。
将棋好きを喜ばすツボ知ってる人が選んでいることは間違いない。
山崎隆之六段の対局に谷川九段の解説をもってくるとか
NHK杯は気が利いてますね。

石田九段の解説は、
それだけで昔からの将棋ファンならたまらんうえに
勝又さんは石田九段門下。
かつての森信雄六段と村山聖八段の師弟を彷彿とさせる
厚い師弟愛で結ばれている二人だし
NHK杯初出場で師匠に解説してもらえるなど
弟子冥利に尽きますな、勝又さん。

将棋の中身ですが、
今大流行中の「一手損角換り」の相腰掛銀。
最先端の研究を競い合うような展開。

石田先生もよく手が見えていて
予想通りに手が進むことが多く、
分かりやすかった。

勝又さんはNHK杯予選をこの戦形でずっと通してきたそうで
(ということはずっと後手番?)
初出場で舞い上がって研究したものがどっかへ飛んでいった、
という状態でありながら
真面目にコツコツ研究し続けた者のみに生じる
その場の閃きのようなものもあったようで、
勝又さんの快勝。

関西棋士には案外「神吉流」が浸透していて
形勢判断で自分が有利と見ていても
敢えて困っているように「はぁ~」とため息をついてみせて
相手の判断を狂わす心理戦をする棋士が多い。
山崎隆之六段は、
その心理戦で渡辺明竜王に勝ったこともある。

関西棋士は油断ならない、
というのが東京の棋士たちにも知れ渡っているのでしょう。
井上八段がしばしば大きなため息をつくので、
その都度勝又さんの表情に警戒心が現れるし、
そんな心理戦があるのかと思いきや、
井上さんは正味困ってため息をついていただけ
というのがなんかおかしかった。

井上さんはポーカーフェイスができないのね。
正直な人だ。
そのへんがまたよろし。

期待した以上に楽しめた対局であった。

勝又さんの次の対戦は
中田功七段対千葉涼子女流王将の勝者と。
これも楽しみです。

(渡野川)

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